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ファッション業界で問題視されている「余剰在庫問題」とは

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ファッション業界で問題視されている「余剰在庫問題」とは

近年、ファッション業界で問題視されている「余剰在庫問題」についてご存じですか?本来なら、大量に生産して季節の変わり目などに安く販売して在庫をはけさせるのですが、ファッション業界では現在、大量の衣服が廃棄されています。それはなぜなのでしょうか。
今回は、ファッション業界を目指す方に知っておいて欲しい余剰在庫問題について紹介します。

余剰在庫とは?

余剰在庫とは、文字通り在庫が大量に有り余っているという事です。需要に対し、供給が大きすぎると発生してしまいます。商品価値はあるため、今後売れる見込みはあるものの、さまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。

ちなみに、売れる見込みがない在庫を「滞留在庫」といいます。流行が完全に廃れてしまったり、商品に問題が発生していたりなど原因はさまざまですが、余剰在庫よりも利益になりにくいです。

余剰在庫を抱える原因

ファッション業界が余剰在庫問題を抱えるようになってしまった原因は大きく3つです。

①ファストファッションの導入

ファストファッションとは、低コストで大量生産し、低価格で販売するブランドのことです。大量生産のため、トレンドを取り入れていながら安く販売することが可能です。手軽に早く食べられる「ファストフード」になぞらえてこの名がつきました。
在庫が余りそうな場合はすぐに値下げされますが、それでも売り切れないと在庫を抱える事になります。ファストファッションは商品のサイクルが短いこともあり、余剰在庫に繋がってしまいやすいのです。

②少子高齢化

日本では少子高齢化によって、流行に敏感な若者が減っています。買い手の減少も在庫を抱える原因の一つです。顧客がそもそも少なければ、商品が売れません。
少子高齢化は、過剰在庫を含め業界全体に影響を与えています。アパレル業界、特に国内向けのブランドを発信する企業としては、少子高齢化に対応できるビジネスモデルが求められています。

③流行の読み間違い

アパレルの発注生産は、1年前から先取りして行われます。そのため、流行を読み間違えると、人気のない商品を生み出す事になります。逆に、販売する頃には流行が終わっていて売れないという事も。

余剰在庫問題の問題点

余剰在庫を抱える事で、売上はもちろんのこと、他にも影響が及んでしまいます。

・金銭的な負担

商品の仕入れや生産に費やした資金は、売れ残って廃棄してしまえば回収できません。むしろ、維持費や管理するための人件費、焼却など廃棄に必要な費用がかかり、最終的にはマイナスになる可能性も。企業にとっては痛手になります。

・利益にならない作業の増加

アパレル業界で扱う衣料品は、数も種類も大量です。在庫になってしまった商品は、販売店から倉庫へ移動させる必要があり、そこからさらに別の倉庫へ運ぶこともあります。倉庫内では、管理や移動といった手間がかかります。
残念ながら、これらの作業は1円の利益ももたらしません。しかし、行わないと余計に利益を損なってしまうので、在庫がある限り付加価値のない作業を行います。本来は利益を生み出す業務に費やしたい人手を、利益にならない作業に割かなければいけません。

・商品の価値低下

余剰在庫は売れる見込みがゼロというわけではありません。しかし、在庫として保管する期間が長引けば長引くほど、商品の価値は低下しやすいです。
例えば食品なら、消費期限や賞味期限が近づいてしまいますし、紙製品なら紫外線やネズミ被害による劣化が考えられます。同じように、アパレル品も例外ではなく、日焼けやカビ、虫食いなどのリスクが存在します。

・環境への影響

在庫は焼却して廃棄する事がほとんどでしょう。焼却した際には、大量の二酸化炭素が排出されます。また、使われずに捨てられてしまうのは非常にもったいないですよね。
しかし、企業としては安易に安売りをするわけにはいきません。「どうせまたすぐセールになるでしょ?」と思われてしまい、定価での利益があげられなくなってしまうからです。また、ブランドイメージも低下します。結果、環境への悪影響から目を背けて、焼却する事態になっているのです。

・ブランドへの影響

現在、環境問題や持続可能を表す「SDGs」は、多くの企業にとって課題となっています。環境を守る活動をしていない企業は、消費者から良い目で見られません。そのため、ブランドイメージが下がり、さらに売上が下がる危険性があります。

きちんと生産管理ができる人材になるには

ファッション業界において、余剰在庫を生み出さないようにする事は最大の課題と言えるでしょう。そのためには、販売戦略をきちんと練り、生産管理を行えるようになる必要があります。

これからファッション業界に入りたいと思う方は、ファッションビジネスについて勉強し、余剰在庫問題に取り組んでみてはいかがでしょうか。そのためには、ファッションビジネスはもちろんのこと、ファッションの基礎知識について学ぶ必要があります。

例えば、ファッションビジネスについて学べる専門職大学では、国際社会で通用するファッションについての基礎知識や教養を身に着ける事ができます。また、経営手腕や販売企画、生産管理について、実践的な力を身に着ける事ができるため、就職してから即戦力として活躍する事ができますよ。

ファッションは大きな転換期に直面しているかもしれません。環境、企業利益、お客様満足度ともに満たせる経営戦略を考えられる人材を目指してください。

まとめ

ファッション業界で問題視されている、「余剰在庫問題」についてお伝えしました。ファストファッションの導入や少子高齢化の影響で、アパレル業界は余剰在庫問題を抱えています。余剰在庫を生み出さないように生産管理できる人材が重要となっていくことでしょう。

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